北欧ミステリーなんて読んだこともないし、存在すら知りませんでしたが、この「刑事マルティン・ベック」シリーズは全10作品で、北欧ミステリーの先駆けだそうです。
1968年にスウェーデンで発行されました。
2013年9月に45年ぶりに新訳が出たのが本書、というわけです。
物語は、スウェーデンの首都ストックホルムで始まります。
反米デモが行われた夜、市バス、ダブルデッカー内で8人が殺される大量殺人が発生します。生き残ったたった1人の目撃者も、意識は無く命も危ない状況。
被害者の中には、若い警察官、ステンストルムも混じっていました。主人公、マルティン・ベックの直属の部下でした。
犯人探しは困難を極めます。ステンストルムがなぜその市バスに乗っていたのか? そこが突破口になりました。
ストックホルムにある警察本庁犯罪捜査課の刑事たちの生活ぶり、つきあい、会話なども興味深かったですが、当時のストックホルムを取り巻く社会問題もあぶり出されている点も勉強になりました。麻薬、自殺、移民問題、など。
そしてやはり1967年の話しと言うことで、携帯が無い、PCも無かったんだなぁ、と改めて感じました。ほんの50年のあいだに世界がこんなに変わるものかと。調べたら、PCが一般に使われ出したのは1970年代中頃からなんですね。この小説の10年ほど後のことです。
タイトルの「笑う警官」は、本書に登場する歌のタイトルです。
主人公のマルティンはまず笑わない。16歳になる娘のイングリッドに「パパが笑うの、春以来見たことないわ」なんて言われている。
そのマルティンは最終章の最後から3行目でやっと笑います。
『マルティン・ベックは答えなかった。受話器を持ったまま座っていた。それから低く笑い出した』
380ページの長編で、読み終えるのに時間がかかりましたが、それがかえってうれしいような本でした。これはハマりますね(^^)。次は同シリーズの「ロセアンナ」を読みます。
昨夜の地震は本当に怖かったです! 大きくユーラユーラと長く揺れたので「キャー」となりました。娘の部屋ではラックが倒れました。
日本全国が揺れるなんて珍しいですねぇ。震源が590キロと深かったせいですね。海外からの旅行客のみなさん、驚かれたと思います。
おまけ: 我が家で咲く雑草のひとつ「ムラサキカタバミ」↓。「イモカタバミ」と似ていますが、こちらのほうが優しい感じ。主人は「スイスイバ」と呼んでいます(^^)。