その木箱には「『浮世女房洒落日記』に関しての但し書き」と書かれていて、昭和2年に椋梨順三郎という男が書いたものらしい。
「長持ちにこの手記(日記?)を見つけた。書かれたのは江戸の文化文政、もしくは天保時代か? 書いたのは神田の小間物屋の女房らしい。一読して興味を覚え現代語訳をしたが、発表しようとして思いとどまった。今はその機にあらず」というのがその但し書きの内容でした。
それから、お葛と言う名前の女房の日記が始まります。
1月1日に始まった日記の文章はこんな感じの、ちょっとべらんめえ口調です。
「ーどうも妙な具合。日記だからって朝起きたとこから書くこたぁないか。文も妙に気取ってるじゃないの。嫌だねぇ、もう面倒になってきた。でも短気を起こしちゃいけないよ。今年は日記をつけるんだ、って去年の暮れに決めたのはこの私だ。今日くらいきちんと書かなきゃね」
こんな風な文章で、日々の長屋暮らしを語ります。
登場人物は、神田祭りに一年のすべてをかけ、商売には不熱心なダンナ、同居人で彼女を手助けする男、娘と息子ひとりずつ。その他に、住居である長屋の大家に店子など。
店賃が払えないのもしばしば。それでも花見、花火見物、など季節ごとの楽しみは忘れない。この時代の江戸の町人の暮しも生き生きと描かれていて、登場人物がその辺に暮らしているよう。
お月見に飾るススキを広尾(!?)に刈りに行くなんて、さすが江戸時代だなぁ、と感じました。あの広尾ですよ!
わかりづらそうな言葉には、一月ごとに最後に解説があって、これが勉強になりました。
たとえば
煮売屋(総菜屋)
月並銭(今でいう月謝)
夜鷹蕎麦(蕎麦の屋台)
遊蝶花(さんしきすみれ)
野掛け(今でいうピクニック)
おむら(イワシのこと) などなどたくさん。
お葛の大晦日の日記はこんな感じです。
「さて、今年はどんな年だったろう。いいことも悪いこともあった、うまくいったことも、失敗したことも、まったく変わらないこともあれば、大きな変わり目もあった...やっぱりひと言で言うのは難しいねぇ。だいたい一年をひと言で言い切ろうって根性が野暮じゃないの。だって、いろいろあるのが暮らしてくってことだもの。一年の総まとめ、こんな感想でいいのかね、まあ、いいか。他に言いようもないものね」
木内昇さんというかた、直木賞をとられたかた、ぐらいしか知りませんでした。
知り合いの高校の国語の先生をしているかたが、彼女の書いた「茗荷谷の猫」が大好きだそうで、それで暮れに借りて読んだわけです。それがなかなかのものだったので、図書館で同じ著者のこれを探して借りたのです。
同じく、「みちくさ道中」という本も借りて読みました。タイトルから想像して「時代小説だろう」と思ったら、エッセイ集でした(^^)。
ちなみに、著者の名前は「きうちのぼり」さんと読みます。女性です!
明日は歯科通院で(泣)、たしか10時からだとカレンダーには書き込んではあるのですが、あやしいので電話して確認しました。
「診察券番号を言ってください」と言われ、3度言っても通じない。「?」となっていたら、「もしかして診察券が違っていませんか?」って!
よーく見たら途中までは同じ大学名だけど、歯科病院のではありませんでした(^^;)。
でも「お名前と生年月日をおっしゃってください」とのことで、それでなんとか話しが通じました。あ~あ、やってしまった(^^;)。歳のせいかなぁ...。
あ、あみだくじ大会ですが、Eの希望者が今のところゼロです。よろしければご応募お待ちしておりま~す(^^)。あみだくじは日曜日に予定しております。