それがチョー面白かったので、この本を予約したのですが、やっと届きました。新刊じゃないのに読みたい人が多かったようです(^^)。
著者はまえがきでこのように書いています。
この本は、リスボンで暮らすようになったのをきっかけにはじめたmixiの日記を中心に、その後はじめたブログの文章で構成されています。
(中略)
久しぶりにこの日記を読み返してみて、あのころのどたばたにもがいている自分を客観的に楽しむことができたのですが、私は自分の身のまわりで起こる数々の出来事や、想像したことを、なにかのかたちにしたい思いでいっぱいだったようです。
生きるということは決してスマートでなく、むしろ見苦しいことが多いくらいですが、それがなかったら漫画を描くパワーも沸いてこなかったのでしょう。そんなことをいましみじみと感じています。
その言葉のとおり、どたばたの毎日が素直な文章でつづられていて、これはチョーチョー面白い本でした。
なにより、一回りも年下のイタリア人夫の家族、特に息子にデレデレの姑との闘いぶりは見事なものです!
その姑さん、日に2回はイタリアからポルトガルまで電話をかけてくる。夫は通話が終わると、今度は著者に話せと受話器を差し出して来る。それがイヤでトイレに1時間こもっていたら、出たとたんに受話器を目の前に差し出され、言葉に窮した著者に姑さんは下剤を勧めてきたそうです!
毎年、年末には夫の実家への里帰りはほぼ強制的。姑さんからは、「今年も豚半頭分予約してあるから、あんたたちが来たらソーセージ作りましょう」との電話。
それに対して著者は
もういいって、ほんと、もういいよ、ソーセージ。
生豚の死骸も。気の毒だよ、ほんと。
でもって原稿全然進んでないし。
締め切りだけ刻一刻と迫ってくるし。
これ持っていくの?
あのクソ寒い家で原稿やんの? 豚の腸詰め作りながら?
ばあちゃんのオムツ取り替えながら?
絶対ムリ。
と言いながらも夫への愛情からか、はたまた拒絶するほうがストレスだからか、2500キロも離れた夫実家に移動するわけです。
ところで、著者が住んでいるポルトガルに関して、こんな記述がありました。
著者がポルトガルの若者に、「日本ってどんなイメージ?」ってたずねたそうなんです。
その答えが、「満員電車に乗ると無口なサラリーマンが女性をお尻を触る」「女性はお金がなくなったら、はいていたパンツを売ればいいお金になる」だったそうです(^^;)。
ヨーロッパでは痴漢は存在しないそう。そんなことしたらキルビル状態で殺されること間違いなしで、首を締め上げられ、乗り物の外に引きずり出され、暴行を加えられたあと、裁判で莫大な慰謝料を払わされるそうだ、と著者は書いています。
いいな、そんな社会(^^)。
それから、ポルトガルから日本に入ってきた言葉、いろいろありますよね。カルタだのボタンだの。
でも、ポルトガルのおっさんに言われたのは「毎日使うやつだよ。アリガトウでしょおーっ!」ですって!
たしかにポルトガル語での「ありがとう」は「オブリガート」ですよね? ポルトガル人の全員が、日本語の「ありがとう」は「オブリガート」から来たと信じているそうです! 知らなかった...。
ポルトガルの首都リスボンの印象を著者はこうまとめています。
都市なのに都市の驕りがない。
人の親切さが似非じゃない。
人の様子が表層的じゃない。
謙虚でありながら、尊厳を保つ人が多い。
晴天率ヨーロッパ一番。
人間至上主義&合理主義のヨーロッパにおいて、自然とむかいあったときの人間の儚さを最も自覚している雰囲気。
なにかしてもらったお礼を届けに行っても絶対に受け取らないそうです。
なんかちょっと不思議な国、国民性ですねぇ。ポルトガルというと、ファド、黒い服を着ている未亡人になった女性たち、イワシを焼いた料理、なんて発想がきましたが、日本人と共通するところがありそうな気がしました。
この本、チョーチョーおススメです(^^)。