内容は
物がさっぱり売れない享保期に、摂津の津門村に学者の子として生を受けた幸。父から、「商は詐なり」と教えられて育ったはずが、享保の大飢饉や家族との別 離を経て、齢九つで大坂天満にある呉服商「五鈴屋」に奉公へ出されることになる。慣れない商家で「一生、鍋の底を磨いて過ごす」女衆でありながら、番頭・ 治兵衛に才を認められ、徐々に商いに心を惹かれていく。果たして、商いは詐なのか。あるいは、ひとが生涯を賭けて歩むべき道か――大ベストセラー「みをつ くし料理帖」の著者が贈る、商道を見据える新シリーズ、ついに開幕! (角川春樹事務所HPより)
「みをつくし料理帖」シリーズの面白さを知っている者としては、新しいシリーズに対する期待大でした。
大坂天満の呉服商「五鈴屋」に9つという幼い年で奉公に出された主人公の「幸」。
綿買いの男に連れられて行ったその店には、すでに口入れ屋から3人の少女たちが、その店で奉公できるものと信じて待っていました。でも選ばれるのはたった一人。
お家(え)はんは4人の少女に箱に入った半襟を見せて「奉公する、せん、に拘らず、ご縁のあった証にお土産を持たせて返そうと思いますのや」と言うんですね。
箱には数字が書いてあり「幸」をのぞく3人は値段の高いものを選びます。
一方「幸」はと言うと、安い黒の半襟を選びます。
なんでそれを選んだか訊かれた「幸」。「髪油を襦袢や着物に付けないためのものなら、黒の方が汚れが目立たないです。それに、ほかのと違って、これは肌に柔らかくて温かかった」と答えます。しかもそれは母親に使ってもらおうと選んだものでした。実はそれは中でもいちばん高価な品だったんですね。
こうして「五鈴屋」の女衆になった「幸」。だんだん「聡い子だ」という評判をとるようになります。特に番頭の治兵衛は「幸」を温かい目で見守ります。
「五鈴屋」では3人の男兄弟のあいだのもめ事、跡取りの結婚、そして離縁。金銭的にも厳しい状況に陥ります。
これはシリーズ化を見据えて書かれたものだけに「源流篇」でひとつの話が完結する、というものではなかったです。次の「早瀬篇」を読まなくちゃ、という気にさせる終わり方でした(^^)。
だけどそちらはまた図書館に入ってきていないので...。どうしようかな?