今までで一番速く読めた韓国語の小説だったと思います (^^)。
タイトルは 「ふるさと写真館」。
主人公のソ・ヨンジュンの25歳から亡くなるまでのお話です。 主題はやはり 「アボジ」、お父さんでしょう。
大学を休学して軍隊に入っていたヨンジュンは 「父、危篤」 の知らせに故郷の地方の小都市に帰ります。 父は脳卒中で倒れ、うまくいっても手足は不自由になるだろう、そう長くは生きられないだろうという医師の診断。
思いもかけず父の 「ふるさと写真館」 を継がなくてはならなくなった彼には、世話するべき姉妹、兄弟もいます。
恋もまだ経験していない彼は見合いでヒスンと結婚し、彼と母、ヒスンの3人で植物状態の父を17年間、懸命に介護します。
父に対する息子の情というものが強く書き出されている小説だと思いました。 日本でこれほど親子の関係が深いだろうか、と考えてしまいました。
主人公は幼い3人の子どもと妻、母を残し、がんでこの世を去ります。
「著者あと書き」 を読まないで済ませちゃおう、と思いましたが、最後まで読んで正解でした。
これは真実、著者が愛すべき友、ソ・ヨンジュンの追憶のために書いた本だったのです。 そう言えば、一番始めに 「우리가 영원히 기억할 아름다운 사람, 내 친구 서용준을 기리며 (僕たちの記憶に永遠に残るすばらしい人であるボクの親友、ソ・ヨンジュンを讃えて) 」 と書いてあったのでした。
友人のひとり (著者ですね) が通夜の席でヨンジュンの一生をこう語っています。 「本当にすばらしい人生だった。 短かったけれども、ウソ偽りの無い心で、ありのままに愛しながら生きた人生だった。 父を、母を、妻を、子どもたちを、友人たちを、隣人たちを」。
淡々とした物語でしたが、途中なんどもウルッときてしまいました。
海さんにお借りした本ですが、次はippoyoさんに送ります(^^)。