著者の「守り人シリーズ」「獣の奏者シリーズ」は読みました。
今年の3月、「国際アンデルセン賞」を受賞した著者。
その後、執筆に苦しんでスランプに陥っていたとき、編集者から「エッセーを書きませんか」と提案されたそうです。「これまで旅をしてきた日々のことを書いてください」と。
ふつうなら断るところ、母上が入院し、その看病のために物語の執筆に専念できず悶々としていた、ということもあって、「書いてみようか」という気になったそうです。
第一章の「駆けるシスター」では、著者が初めて海外に行ったときのイギリスでのできごとが書かれています。高校生だった著者が、高校の「英国研修旅行」に参加したときのこと。
大変な方向音痴の著者は、どうしてもバグパイプが買いたくて単独行動をとってしまい、ホテルに帰れなくなるんですね。
そこへ修道女が歩いてきたので思い切って「エクスキューズ・ミー、シスター!」と声をかけます。
たどたどしい英語で「ホテルへの帰り方を教えてほしい」と伝えると、シスターは深くうなずき、ひと言、「あなた、英語、下手ね」って。
まったく通じていなかった?と愕然とする著者の手をとって、シスターはどんどん駆け抜けてホテルまで連れて行ってくれたそうです。
そして、「指輪物語」「ゲド戦記」「トムは真夜中の庭で」「時の旅人」「グリーン・ノウの子どもたち」などを愛読していた著者は、「どうすれば、こんな圧倒的な力を持つ物語を紡げるのだろう?」「こんな凄いことを、いつか、私はできるようになるだろうか」と思っていたのですが、彼女に「できますよ」と言ってくれた人がいました。
「大人になり、様々なことを経ても、まだその夢を強く持ちつづけているようなら、あなたはきっと作家になれます」と、言ってくれたのは、「グリーン・ノウの子どもたち」の作者、ルーシー・M・ボストンさんだったのです。
その英国研修旅行の前に、著者はボストンさんに手紙を書いていた(実は英語の得意な友人に頼んだ)んですね。
するとボストンさんから「いらっしゃい」のお返事が!
ボストンさんのお住まいである「グリーン・ノウ」で見聞きしたものが上橋さんに、「ファンタジーがどうやって生まれるのか」を教えてくれたそうです。
80歳を過ぎた今でも好奇心旺盛な母上と年に一度は海外旅行に行ってらっしゃって、その母上のど根性についても微笑ましく書かれていますし、また、表紙の絵は、洋画家であられる父上(上橋薫さん)の描かれたものだそうです。
私は句読点の多い文章は苦手なほうなのですが、上橋さんの書かれたものに関しては、そこが気になりません。なぜでしょうか。
活字のフォントや組み方、あとは「漢字」「ひらがな」「カタカナ」の分量などで読みたいか読みたくないか、が決まるのかも知れないな、とも思っているのですが。
そう言えば、私も「トムは真夜中の庭で」が大好きです(^^)。少年・少女向きの本ですが。
おまけ: 今日の遅いお昼。私が食べたもの(えびフィレオセット)のカロリーを一覧表で見て計算したら、な、な、なんと985キロカロリー! 目を疑う数字ですよねぇ! これ↓は二人分ですけどね。