N子さんに送ってもらった本です。
内容は
町与力の高安門佑は、新任の北町奉行・遠山景元の片腕として市井の取締りに励む毎日だ。その最中、元遊女のお卯乃を屋敷に引き取る。お卯乃との生活に安らぎを覚える門佑だったが、老中・水野忠邦が推進する天保の改革は、江戸を蝕み始めていた。改革に反対する遠山らと水野の鬩ぎ合いが苛烈を増す中、門佑は己の正義を貫こうとするが――。爽やかな傑作時代小説。(出版社のHPより)
遊女お卯乃は、隠売女の大がかりな取り締まりで捕まった女でした。
その際、馬を騒がせ、捕方に傷を負わせた罪により、百日の押し込めの刑を言い渡されます。
その押し込め先が、牢屋敷ではなく、なんと高安門佑の組屋敷内の座敷牢なのです! 実は高安家に座敷牢などはありません。
高安は、取り締まりの前にもお卯乃とちょっとしたことで会っており、その際の蓮っ葉な物言いは、相手が与力であっても関係ない、という態度でした。
仕方なく奉行のいうように家に引き取ったは良いけれど、そのあとのお卯乃の働き口が見つからないんです。
なぜなら、お卯乃は炊事・洗濯・掃除・裁縫と何ひとつ満足にできないから。
お卯乃の躾は女中頭に任せているものの、口のきき方も礼儀知らずも相変わらず。
でも高安は話し相手としてはそう悪くはない、と思うようになっていきます。
江戸時代ですから、愛だの恋だのという言葉は出て来ません。
でも、出戻りの姉がお卯乃に高安の縁談が決まったと言い、そのことでお卯乃は家を出て行った、と聞かされてついに本心を口に出すんですね。
お卯乃を妻に迎えるつもりだ、と。
元遊女を武家の家に嫁入りさせるのは並大抵のことではできない相談です。
時が経ち、叔母が久しぶりに高安家を訪れ、こう言うんですね。「門佑殿、今日限りでお卯乃という娘のことは忘れて、我が娘、千歳を迎えて下さりませ」
また時が経ち、高安は四国讃岐に幽閉されている、元北町奉行の鳥居忠耀に会いに行き、まだ独り身なのかと尋ねられてこう答えます。「いえ、叔母が嫁いだ稲取家から妻を娶りました」と!
読者は、ああ、お卯乃を諦めて叔母の娘の千歳と夫婦になったんだ...、とガックリ来ますよね。
ところがところが、エンディングで、姉と叔母の巧みな策略がわかるわけです。
いやぁ、良いエンディングでした! 涙がポロポロ。
って、私は恋物語にしちゃってますけど、実際は水野忠邦と南町、北町奉行との攻防の方がうんと書かれているんですよ。
恋ってステキ(^^)。