またまた、米原万里さんの「打ちのめされるようなすごい本」を読んで借りた本です。
「打ちのめされるような・・・」は、2006年発行の本なので、紹介されている本もそれ以前のもの。だから図書館からすぐに届きます(^^)。一気に5冊くらい頼んだら一気に来ちゃいます。読むのが大変ですし、感想文もほとんど書けません。
この「転がる・・・」の著者の名前、「知ってる」と思ったのは、8月5日に感想を書いた本「島へ免許を取りに行く」の著者だったから。
この本ですけど、すご~く分厚くて、しかもすぐに読める本ではなかったので時間がかかりました。580ページ! でも読みにくい本ではないんです。
著者は1986年に1年間限定の交換留学生として香港の啓徳空港に降り立ちました。
そして1996年、返還を1年前にした香港に再びやってきます。なぜか。返還を見届けるため。
本の中には留学時代の同窓生や街で知り合った人たちが多く登場します。そしてかれらとの会話を通して、移民、密航などがごく普通に語られる。
著者は「香港では、ここの背負う過去や背景があまりにも違うため、平均的香港人像というものが存在しない」と書いています。
香港人にとって「この場所は永遠ではない。土地も国家も信用に値しない」。だから少しでも良い生活を求めて移動して行く。カナダの永住権を手に入れても、日本の収入が倍だと知ると今度は日本に住むことを真剣に考える。
ただこれは2000年に初版が発行された本なので、返還後すでに16年半も過ぎていますから、現在の香港がどうなのか、それはまた別の本を読まないとわかりませんね。あ、今やネットで簡単に調べがつくのだった(^^;)。
著者は、留学後に南中国をおとずれて『謝々! チャイニーズ』という本も出しています。米原万里さんはこちらを先に読んで「鉱脈を探り当てた山師のときめき」を感じたそうです!