これも「打ちのめされるようなすごい本」で紹介されていたものです。
私は北朝鮮の実態、というか、暮らしている人たちの生活が知りたくて、わりとそういう本を探して読むのですが、これは韓国人の漁師である著者が、1970年に操業中に船ごと拉致された事件です。
船ごとの拉致というのも珍しくはないようです。驚きです。
そして北朝鮮でどういう選別をしたのか、著者と数名は残され(著者は後になってこの事実を知る)、他の船員たちは韓国に戻されているのです。
北朝鮮での暮らしは他の本で読んだのと似ていました。とにかく食べるものに事欠くわけで、それをなんとかしようとする努力だけで生活が成り立っている、そう言えるようなものでした。
党の上司や軍などの威張り腐った態度! なにの許可をもらうにも賄賂が必要。
著者は中国出身の朝鮮属の女性と結婚し、それを足がかりにして脱北します。
脱北だけでも大変な苦労をしたのに、問題は中国に入ってからも公安の目を恐れて暮らさなくてはいけないことなんですねぇ。密告だって身内からされたりして。
著者は長距離の移動の末、青島にある韓国総領事館をたずねて韓国へ帰国したいと言うわけですが、この総領事館員のけんもほろろの態度には呆れかえりました。著者は韓国籍のある韓国人なのに。
結局、韓国のマスコミが介入してくれると領事館の対応が手のひらを返すように変わるのは笑えますねぇ。著者にとっては笑うどころの騒ぎではないのですが。
2007年、韓国にもどった後のことについては書かれていません。たぶん韓国籍だった人とは言え、北朝鮮からの脱北者ということで差別も受けたのではないでしょうか。スパイ教育をされていないとは言えないわけですから。
著者が述べていたことで恐ろしいなと思ったこと。それは「北朝鮮は人民の餓死にかかわらず莫大なお金をつぎ込んで戦争のための準備は着々と進めていること」「韓国がこのままノー天気でいたら危ないのではないか」という文章でした。
最近の北朝鮮では、人々も集まって話しをすることは避けているらしいですね。どこに隠しマイクが仕掛けられているかわからないから、だそうです。
この国、どこに向かって行くのでしょう。
おまけ: 今日は一日、強風が吹き荒れていました。そんな今日の日没です。