すべて図書館から借りました。
先日同じ著者の「家守綺譚」を読んでから、ほかにはどんな作品が?と思って検索したわけです。
その著作の中からタイトルで興味を引いたものを借りました。
「エストニア紀行」は、いわゆる「バルト三国」のひとつ「エストニア」を旅行したときの紀行文です。
私は編み物のほうでこの国を知っているわけですが、この本を読んで「エストニア」が本当の独立を果たしたのが1991年と言う最近のことだと知って驚きました。歴史をなにも知らなかったんですねぇ。
13世紀以降、いろいろな国に支配され、何度も独立宣言をするものの実際には独立することができず、結局1991年に独立を果たしたような複雑な過去を持つ国でした。
著者はエストニアの首都、近郊の自然豊かな地域にまで足を延ばしています。
「家守綺譚」で、梨木さんは植物に造詣の深いかただなぁ、と思いましたが、植物だけでなく動物にも、地球上の生き物すべてに対する想いが強く、それゆえにこの先の自然がどうなるのか絶望的になることもあるようです。
「春になったら苺を摘みに」は、著者がイギリスに留学していた時の下宿先オーナーであるウェスト夫人にまつわる話が語られています。
普通だったら絶対に下宿させないようであろう人物まで面倒をみるウェスト夫人。刑務所帰りの人、ベトナム難民、サラエボ難民、アラブ人...。
特に「えっ」となったのはコソボ難民の話でした。
「かれらは店員が見ていなければなにを盗んでもかまわないと思っている」
「イギリスで過ごした初めてのクリスマスの時、かれらはクリスマスプレゼントを交換するということの意味がわからなかった」
「かれらは自分たちがもらったプレゼントが定価いくらのものか、送り主に問いただし、自分の相手へのプレゼントがそれ以上のものだった場合、その差額を要求した」
梨木さんは「価値観や倫理観が違う人間同士の間でどこまで共感が育ち得るか、という課題」と言っています。
他にもご紹介したい文章がたーくさん。じっくり読みたい作品ですね。
「ぐるりのこと」だけ、まだ途中です。実を言うと少し挫折しかかりました(^^;)。眠かったせいかなぁ、とも思っていて、今夜から続きを読むつもりです。
著者についてよく知らないと言うことは、著書を読んで新鮮な驚きを感じられることでもありますよねぇ。
本でも映画でもドラマでも前もっての情報は無いほうが良いですね。梨木さんの作品を読んでもそんなことを感じました。