図書館に来たのですぐに取りに行って昨夜読みました。
これは、2012年に集英社クリエイティブから出版されたものの文庫版で、元のエッセイは女性漫画誌「オフィスユー」に連載されていたものだそうです。
驚いたのは、髙田さんが小説を書き始める前は「漫画原作者」の仕事を15年もなさっていた、ということ。
「漫画原作者」と言うれっきとした職名があることさえ知りませんでした。
ある種のマンガには「◯◯作 ◯◯画」と記載されている作品もあるけれど、原作者の名前を見ることは珍しいですよね。
そしてこの本には、「漫画原作者」時代の取材中のできごとや、それとは関係のない著者の心に残るできごと、またどうして「漫画原作者」から「小説家」に移行したのか、などが書かれています。
中でも私の心に残ったのは、中学2年の時、イジメによる暴行を受けて、肋骨骨折に内臓損傷で入院になったエッセイでした。
イジメが始まったきっかけを作ったのは、女性体育教師の放ったひと言。
「このクラスで一番気にくわんのはお前や」
このひと言は著者にとって「私は人から嫌われる存在なのだ」という自己否定の種となって、成人してからもなお著者の心を縛っていたそうです。
ところが十年ほど前、その女性教師が無銭飲食に飲酒運転で捕まった、と言う記事が新聞に載っていたそうです!
その記事を読んだ著者は「こんな人間のために今まで...」と思うと、呪いの鎖のようなものが弾け飛んだんですね。
「神様も味な幕切れを用意してくださったものだ」と、溢れ出る涙をぬぐったそうです。
同じ経験を私がしたとしても感じ方が違う、文章にも書けない。才能とはものすごいものだな、と思わされる本でした。
最後に「文庫版あとがき」が載っていて、髙田さんがブログやツイッターはやっていないこと、その代わりにサイン会や講演会で読者と直接会うことをとても大事に思っている、と書かれていました。
おまけ: 剪定に失敗してやり直した「アイスバーグ」につぼみが付きました。私はバラ栽培には向いていないかも(^^;)。