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Channel: ハーちゃんの「ゆらゆら日記」
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トーベ・ヤンソン著 「島暮らしの記録」

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これは先日読んだ、小林聡美著「読まされ図書室」に紹介されていた本です。1999年7月、初版第一刷発行のやや古い本です。

著者のトーベ・ヤンソンは、みなさんご存じの通り、「ムーミン」シリーズの作者でフィンランド人。2001年に故人となりました。

著者が夏の間、島にある別荘で過ごしていることは、岸田今日子著「外国遠足日記帖」というエッセイ集で知っていました。




岸田さんはアニメ「ムーミン」で声優をやっており、たぶん1960年代に訪日なさったヤンソンさんとニュースショーでちょっと会ったそうなんです。

その岸田さんが1987年に友人たちと北欧ツアーに出かけることになりました。

ヤンソンさんの島を見たいと、東京にいる時から言っていたら、どうした間違いか、ヤンソンさんに逢いたいと言っているということになってしまったそうなんです。

そしてヤンソンさんの秘書から、島の場所は秘密だけれど、ちょうどヘルシンキに出るので逢ってもいいと言っていると、連絡が来たそうです。

でも岸田さんはすっかりいじけて、お逢いしても何も話せないから失礼すると返事してしまい、結局お二人は会うことは無かったんですね。

そのヤンソンさんが夏のあいだ仕事場にして暮らしていた「クルーヴ島」。その島を見つけて家を立て、30年後についにそこを離れる決意をするまでの記録が書かれた本です。

私は、島の別荘と聞いて、ごく普通に立てられた建物や環境を想像していたのですが、とんでもない!

島の全景はこんな風 で、まず大岩を発破で砕くことから始まるんですねぇ。




それから建築資材や道具類を他の島から調達して運ぶわけですが、風が強く波が高いと荷物を島に荷揚げすることもできない。

ヤンソンさんと私生活でのパートナーである、トゥーリッキ・ピエティラ(グラフィックアーティスト)も、工事をただ見守っているだけかというと全然そうではない。いろいろな作業を職人や大工に任せっぱなしにはしないんですねぇ。

なんか「ロビンソン・クルーソー」を地で行くような生活ぶりに驚かされました。なんでも想像しているのと実際に知ることのあいだには大きな開きがあるものですね!

岸田さんが「外国遠足日記帖」でヤンソンさんに触れているのは「悪魔変じてメルヘン旅行」の章ですが、その中にムーミンについての面白い文章がありました。

「あれはやっぱりカバですか」と言う人もいて、わたしは内心少しムッとしながら、「いいえ、フィンランドのトロールで、一種の妖精です」と答える。相手によっては「魔物です」とも言う。ここが難しいところで(たいした難しさではないが)妖精と魔物の、どちらを取るかという問題は、わたし個人の中でさえ、常にせめぎあっているのだ。

日本製アニメの「ムーミン」にはヤンソンさんもビックリしたらしく、はじめのうちは「イメージが合わない」というので、だいぶ手直しをさせられたそうです!

あら、「島暮らしの記録」の話なのか「ムーミン」の話なのか、わからなくなってきました(^^;)。

私自身は、アニメ「ムーミン」はほとんど見たことがありません。出てくるキャラクターは知っていますけども。特に「スナフキン」!

「ムーミン」シリーズの中の何作品かは、この「クルーヴ島」で書かれたそうですよ。


岸田さんのこの本も私の愛読書で、何度読んでも飽きません(^^)。

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