この「천국보다 낯선」で検索するとアメリカ映画「Stranger Than Paradise」が出て来ます。
小説の中でも何度かこの映画のことにも触れていますが、主人公たちが大学の映画サークルのメンバーであったこととも関係しています。
登場人物は大学時代にファミリーと呼ばれるほど仲が良かった5人で、そのうちのAという女性が交通事故死したため弔問に向かう夜の車内での会話が主になっています。
クルマの中にはキムとジョンの夫婦、それにチェが乗っていて、残る一人ヨムは地方のバスターミナルでキムに拾ってもらうことになっています。
チェはどうもホームレスになってしまっているらしい。
物語は、キム、ジョン、チェがそれぞれ一人称で語る方法で進んで行きます。
それぞれの持っている世界観がまったく違う、同じ場面に遭遇しても考えていることが違う。夫婦でもまったく互いを理解していないのもわかってきます。
また3人はAとそれぞれ複雑な関係にあったのに、お互いにはそれを知らないことも。
葬式が行われるK市まで行く途中の高速道路で3人は交通事故を目撃するのですが、このへんから「あれ、これミステリー?」って感じ始めました。
なぜなら死んだはずのAから3人の携帯にメールが届き始めるから。
Aが自殺した可能性も捨てきれません。
そしてK市に向かっていたはずのクルマがなぜか海辺に着いてしまう。
もしかしてこの3人があの交通事故の被害者で、もう天国にいる人たちなのではないだろうか、と疑ってしまいました。
最後の章はヨムが主人公ですが、ここだけ3人章で語られます。
ヨムは3人の乗ったクルマをバスターミナルの食堂で待っている。テレビからは高速道路で3人死亡のニュースが流れている。彼はそれには気づかない。
そこにクルマが止まり、男女3人が食堂のほうに歩いて来る。しかしそれがヨムの友人たちなのかどうかは明かされないまま小説は終わります。
「?」
どこか見逃している文章があるのかも。もう1度じっくり読めばナゾが解けるでしょうか(^^;)。
最後にこの小説の解説があって、それも読んでみましたが、私が感じたミステリー的な部分については解説してありませんでした。う~ん。
韓国語の本は、知らない単語がある程度あるとそれは読み飛ばしますが、この本はそれほどではなかったので辞書で引きながら読みました。
この本は文学的素養のあるかたなら、もっと深い読み方ができる本だと思うんです。私はそのへんがちょっと...(汗)。
韓国語の文章はわかりやすく、けっこう早く(私にしては)読めました(^^)。