江戸時代の話です。
17で金物問屋に嫁いだ「おこう」は、25の今、婚家を去ろうとしていました。連れ合いがよそに子どもを作ったからです。
「おこう」の乳母であった「おとわ」に昔聞いた、「橋の上から願いをこめて錐を投げると願いがかなうそうでございますよ」という話。
「おこう」は、「どうか、富の助さん(旦那)との縁を切ってくださいまし」と心の中で念じて錐を川へ投げ込みます。
そのせいか、うまいこと願いがかない去り状をもらった「おこう」は里に戻るわけですが、そこには「おこう」が持って帰った持参金の二百両をあてにする兄夫婦がいました。
毎日兄夫婦、母とお金のことで言い争いをする「おこう」は、乳母であった「おとわ」に会いに行こうとします。
「おとわ」は現在、「三春屋」という名の口入れ屋で生計を立てていましたが、肺を患い病いの床についていました。
「おこう」は、「三春屋」で自分を雇ってほしいと切り出します。
それを聞いた「おとわ」は、「口入れ屋というものは、雇い主と奉公人の仲立ちをして話をまとめる稼業。奉公人もいろいろあって、下男に女中、飯炊き、なかにはお妾の周旋というのもありますよ」と言う。
それでも「おこう」は、「この先も、涙をこぼしてみて、それで世間がはじめてわかるのかもしれない。でも、きっと弱音は吐きませんから」と言って「おとわ」の承諾を得ます。
そうして口入れ屋稼業に身を置いた「おこう」の元には仕事をあっせんしてもらいたい人間が次々と訪れ、いろいろな人生模様が繰り広げられます。
中には殺人事件まであるわけですが、「おこう」自身の身の上も大きな転機を迎えることになります。
この本に出てくる言葉で、ルビがふってあって、いかにも江戸時代だなぁ、というものがあったので拾ってみました。
臨時収入(ほまち)
根菜(つちもの)
大地震(おおない)
対等の仲(たいのなか)
事情(ゆくたて)
身元保証(ひとうけ)
血脈(ちみゃく)
希有(けぶ)
この中で「ほまち」は、知り合いが東京のまん中で育った人で、その人の話の中で聞いたことがありましたが、字にすると「臨時収入」になるんですねぇ!
タイトルの「起き姫」は人物を指しているのかと思いましたが、そうではありませんでした。表紙にも描かれている「起き上がりこぼし」のことでした。
同時に借りた、酒井順子著「裏が、幸せ。」は挫折~(^^;)。
おまけ: 昨日、四ツ葉を二株抜いてきたのを植えました。どうなるでしょうか?