「ポケットに物語を入れて」は、角田さんの感想文、ご自分の書かれた解説文集です。
タイトルの「つやのよる」ですが、なぜひらがなか? 「通夜の夜」なのか、「艶の夜」なのか、最後まで読むと考えてしまいますよ(^^)。
この本、7つの章から成り立っています。
1 艶の従兄の妻、石田環希(51歳)
2 艶の最初の夫の愛人、橋本湊(29歳)
3 艶の愛人だったかもしれない男の妻、橋川サキ子(60歳)
4 艶がストーカーしていた男の恋人、池田百々子(33歳)
5 艶のために父親から捨てられた娘、山田麻千子(20歳)
6 艶を看取った看護師、芳泉杏子(31歳)
7 艶の最後の夫、松生春ニ(49歳)
これを見たら「なんだ、これ?」って感じですよねぇ。
最後の夫、松生は艶についてこう言います。
「やっかいな女だったんですよね。男好きなのは男性恐怖症の裏返しなんだって言ってました。最初の男が従兄で、艶はまだ十ニだったのに、力づくで犯されたのがトラウマになってるんだって」
第1章に登場する、石田行彦と妻の環希の話は淡々と進み、一見、おしゃれで平和で幸せなカップルを思わせます。環希は出版社勤務であり、同僚であった行彦は「エッセイの分野ではいちばん大きな賞」を受賞。
ただ、艶という女性が死にかかっている、という電話を受けてからの夫のようすに普通でないものを感じた環希は、章の最後に夫にこうたずねます。
「あなたと艶さん、どんな関係だったの?」って。
最後まで読んでこう思いました。「この環希って人、事実を知ったらどういう行動を起こすだろうか」って。
通夜の晩、最後の夫、松生はある人たちが来るのを待っています。だが、彼らは来なかった。彼が艶の死が迫っていることを知らせた、あるいは知るように仕向けた男たち。艶と寝た男たち。
ストーリーと関係の無い話ですが、第4章で「フランソワーズ・アルディ」の「もう森へなんか行かない」という曲が流れる場面が出てきます。なつかしくて驚きました。私、これのLPだか持っていたので。
角田さんの「ポケットに物語を入れて」の中から他にも借りた本は
沢木耕太郎著 「あなたがいる場所」
酒井順子著 「29歳と30歳のあいだには」
井上荒野著 「もう切るわ」
大竹伸朗著 「カスバの男」
忌野清志郎著 「忌野旅日記」 です。
おまけ: 「もこもこシルエットのスヌード」4枚目、できました~(^^)。紫をちょこっと入れて編んでみましたが。