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Channel: ハーちゃんの「ゆらゆら日記」
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丸谷才一著 「思考のレッスン」

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和田誠著「ほんの数行」で紹介されていた本です。もちろん表紙は和田さんのもの。

これは丸谷さんの独特な発想はどうやって生まれるか、について書かれた本です。

が、私はこの本の中での「読書について」「ものの書き方について」気になったところを抜き出して行きたいと思います。

まず「思考のための準備」として著者は「読書」を勧めています。

そして「本の読み方の最大のコツは、面白がって読むこと」だそうです。

「読書の効用」としては三つのことを挙げているのですが、まず第一に「情報を得られること」。第二に「本を読むことによって考え方を学ぶことができる」。

第三には「書き方を学ぶことができる」。

さて次は読むべき本をどうやって選ぶか?

1つには「書評を読むこと」。

もう1つは「学者の書いたものを読むこと」なんだそうです。なぜかと言うと、「学者は、優秀は人はうんと優秀だし、一生それ専門で勉強してしてるからよくできる」から。なるほど。

そして本の読み方として大事なことは、「言葉の使い方に注意して読むこと。著者がその言葉をどういう意味で使っているかを、批判的、分析的に読むこと」だそうです。

面白いことも指摘されていて、「本は忙しいときに読め。まとまった時間があったらものを考えよう」と言っているんですね。

「僕の読書テクニック」の章では、「同じ本でも違った版で読む。版ごとに活字の組み方や注釈が違うから」と書かれていて、驚かされました。読書に対する取り組み方がわれわれとは根本的に違うんですねぇ。

それからこれもビックリしたのは、著者の本はバラバラで本棚に置かれている、ということでした。

著者は美本を愛蔵する趣味はなくて、だから平気で書き込む、破る、読みやすいようにバラバラにする、そうです! これ誰か知り合いがやっていたような...。

それからこれはブロ友さんがやっていて見せてもらいましたが、本の人物表、年表を作ろうと提案しています。

ガルシア・マルケスの「百年の孤独」という名作では、おばあさん、母親、娘が同じ名前だったりする。それはガルシア・マルケスがわざとそうしたので、英訳本には系図がついているのに日本語版が出た時になぜ思いつかなかったのか、と著者は嘆いています。

最後に「書き方のコツ」。

「思考のレッスン」になぜ文章の書き方が大切か。それは、人はものを考えるとき、必ず文章の形で考えるから。文章力がないと、考え方も精緻さを欠くようになる、と言っているんですね。たしかにそうですよね。動物はものを考えるときにどうやっているのか、と思うことがありますから。

私の稚拙な文章力では書き切れないほどの内容を含んだ本でした。いろいろな意味で圧倒されました(^^;)。


おまけ: 台風11号はスピードがまだ遅いですね。今後は日本海に抜けそうですが、大雨、土砂崩れの心配があるようです。ご注意ください。今、東京は小雨ですが、念のため、ゴーヤをポールに縛り付けました。小さいほうのゴーヤはいつの間にか落ちてしまったようです。
うちの区にある「縛られ地蔵」みたいになってます(^^;)。




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