暑いですねぇ! 梅雨明けはまだかしら?
この本は、カード会社から毎月届く月刊誌の「BOOK SELECTION」のコーナーで紹介されていたうちの1冊です。
毎月このページを見て、読みたい本は図書館に予約します。これはすぐに来ました(^^)。
この本の紹介文のタイトルは「一風変わった求職者たちが訪れる奇妙な就職相談所の日常」となっています。
主人公は「27歳、女、無職」のシーノ。
蛸足大学理学科生物分類学分野で博士号をとったシーノは職安に足を運ぶのですが、研究職では仕事は無いから他の職種を考えたほうが良い、と相談員に言われてしまいます。
交通費を節約するために職安から自室まで歩いていると、ある塀に張り紙がしてあるのに気づきます。
急募 秘書一名 無口なかた歓迎 委細面談 蛇足軒
すぐに早足で蛇足軒に向かった彼女は即採用され、翌日から秘書として働くことになるのですが...。
この蛇足軒という人物(47歳、いつも着流し姿)は、なんと嘘術の家元だというのです!
そして「秘書としての1番大事な仕事(庭の巨大な金魚にエサをやる)」をしたり掃除をしたりの毎日の中、シーノは蛇足軒の別の顔を知ることになります。
それは特異体質者の就職相談員、というもの!
その特異体質者は、と言うと「吸血鬼」「不死身の青年」「3秒後を予測できる女性」などなど。
蛇足軒はそれぞれにピッタリな仕事を見つけてやります。
何度も「クスっ」だの「ククク」だのと笑ってしまいました。
ところで最初から「この舞台は仙台かなぁ」と思ったのは、通りの名前などになんとなく聞き覚えがあったから。
もちろん字は変えてあるのでしょうが、「架須賀町通」「蒼羽通」「似詩公園通」「廣瀬通」「上善寺通」などなど。仙台に住んでいらっしゃるかたなら「あー、あそこかぁ」と思われるはず。違うかなぁ。
著者略歴を見たら、東北大学理学部卒業になってましたから、仙台で大学時代を過ごされたんですよね、きっと。
あり得なそうな話なのに、妙に説得力があるし、シーノが涙をこぼすシーンに共感してしまう。
この紹介文の最後に「軽快なタッチも相まって、思わず一気読みしてしまう1冊」となっているのはうなずけました(^^)。
ちょっと不思議で楽しい本でした。おススメです!