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Channel: ハーちゃんの「ゆらゆら日記」
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池波正太郎・編 「酒と肴と旅の空」

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これは先日読んだ和田誠さんの「ほんの数行」の中から選んで借りた本です。もちろん表紙は和田さんが描いてらっしゃいます。

文庫本として出版されたのは2008年ですが、単行本としては1985年に出ている、少し前の本ですね。

24人の作家が、それぞれの作品の中で披露している「酒食に関する随想」をまとめたものです。

調べたら、ほとんどの作品が昭和50年代のもの。ほんの少し40年代のものがありました。

作家は、田中小実昌、江國滋、檀一雄、向田邦子らの面々。

タイトルを見るだけで美味しそうですよ。

「ロンドンのパブ」「お雑煮」「幕末の味・卓袱料理」「昔カレー」などなど。

ただ、宇能鴻一郎さんの「南国の魔味と踊り」だけはいただけませんでした。ま、読んでもいないのですが(^^;)。

なぜって「ハブ料理」について書かれているみたいだから。怖くて読めたもんじゃないです!

吉田健一さんの「ロンドンのパブ」からの文章。

併しその上等な方に行かなくてもロンドンのも含めて英国の飲み屋の多くが華麗とさへ言へる作りであることは事実でテームス河の岸に住んでゐる友達の家に呼ばれて行った所が時間が早過ぎたのでその向かひ側の飲み屋に暇潰しに入るとテームス河を見渡す広い部屋に夕日が差し込んでそこの古風な調度を金色に浮かび上がらせてかういふ店でも他の飲み屋と同様に台まで行って何でも注文したものを作って貰へるのだらうかと思ったがさうした心配をする必要はないことが解った。

これが1文! 句読点無し!

昭和51年発行の「ロンドンのパブ」という本の中の1文だそうですが。

大村しげさんの「お雑煮」に書かれていたのは、人はどれほどその土地に長く住んでその土地の人間らしくなったとしても、お雑煮だけは子どものころに食べたおふくろの味じゃないとダメなようだ、ということでした。

これ我が家では本当のこと。私はやっぱり関東風が好きで、主人はあくまでも岡山風にこだわっていますから(^^;)。

それから、山口瞳さんの「赤穂の穴子、備前の蟹」に、「閑谷学校(しずたにがっこう)」を見物に行くくだりがあります。

そこに「楷の木」が出てきて、「湯島聖堂に植わっている木だな」と思って調べてみました。

そうしたら、大正4年に農商務省の林業試験場の初代場長であった白沢保美博士が、孔子の墓所から「楷の木」の種を採種。日本に持ち帰って播種、育苗なさったそうです。

それを、湯島聖堂に3本、足利学校に1本、閑谷学校に2本を植えたそうです。

この「楷の木」を「学問の木」と呼んだのは、ここ閑谷学校が最初だということです。

飲食と関係のないところで引っかかりました(^^;)。

丸谷才一さんの「幕末の味・卓袱(しっぽく)料理」では、「崎陽」というのが長崎の中国ふう別称であると書かれていて「あ、それで崎陽軒なのか」と思った次第です。そうなのかな?

最後に水上勉さんの「梅干し」は、ご自分で梅干しを漬けられるかたはお読みになると良いかと。

京都の相国寺(私が住んでいたすぐそば)で小僧をしていた時に梅干しを毎年漬ける作業もさせられていたそうです。

それで作家になってからもご自分で「京都から月ヶ瀬梅」を「湯河原から小田原梅」を「軽井沢から松井田梅」を取り寄せて漬けられるそうです。

漬け方から梅干しの料理法、梅干しの思い出まで、15ページにわたって書かれていて、その中に「えっ」と思う文章がありました。

「禅宗寺では、和尚が先に亡くなると、だいこくさん、子どもは気の毒な目にあう。養子縁組でもできて、すでに新命和尚でも決まっておればいいが、そうでない場合は、親子は追放されてしまう」そうです!

現在はどうなのかはっきりわかりませんが、水上さんがこの文章を書いた当時はそうだったのでしょう。

ちなみにこの文章は、昭和53年刊の「土を喰ふ日々」に収録されているものです。

あれ、あんなに日が照っていたのに急にものの影が消えました。黒い雲がたれ込めています。

北と西の空を見たらこんな風
埼玉県の東部西部に集中的に雨が降っているようです。





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