台風8号ですが、「夜中に消滅したらしい」なんていうガセネタを娘が伝えてきたもので、うっかり信じておりました(^^;)。
勢力はいくらか弱まったものの、沖縄地方では大雨が降って被害も出ているようです。今後、九州に近づくそうですから、ご注意ください。
さて、この本の著者はイタリアで30年間、仕事をしてきた人で、現在は日本とイタリアを行ったり来たりの生活をしているらしい。
この本は「小説現代」に「永遠の食卓」というタイトルで連載されていたものをまとめたものだそうです。
本のタイトルって大事なぁ、といつも思います。タイトル次第で売れ行きが何倍も変わるかも知れないから。
この本も「皿の中に、イタリア」という題名にして正解だったと思います。
図書館の新刊案内のたくさんの本の中から、どれを選ぶかという基準は私の場合まず「著者」、次に「タイトル」かも知れません。
イタリアの料理を紹介する本かな、とも思うタイトルですが、そうではない。著者がイタリアで知り合った人たちとの交流を描きつつ、その時々で口にする食べ物、飲み物の話も顔をのぞかせる、そういった作品です。
イタリア南部に「カラブリア州」という地方があって、その土地のことが知りたい。それなのに誰も知らない。
やっとのことでミラノで金曜日に開かれる青空魚市場で、魚介類をあきなう3兄弟に会うことができます。しかし、カラブリア州出身のこの3兄弟は取りつく島もない、という無愛想さ。
しかたなく大量の魚、貝を彼らから仕入れた著者は、どうやって消費したらいいのか途方に暮れるんですね。
結果、多くの知り合いに連絡して魚介類ディナーをふるまうことになります。200尾ものイワシは、同じ建物の居住者にフライにしてプレゼント。
その日、3兄弟とはまともに話もできなかった著者は、「これは魚を介して親しくなるしかない」と決心。次の金曜日もその次の金曜日にもカレンダーに赤丸をつけるわけです。
そして「これから毎週、金曜日は魚料理を食べに来る人のために我が家を門戸開放しよう」と決めるんですねぇ。知り合いだけでなく、知り合いが連れて来る人も来てかまわない日、にするんです。
それから毎週、著者は青空魚市場(場所は移動する)に行き少しずつ3兄弟と言葉を交わすようになります。その晩来ることになっている客にどういう魚料理が良いか、まで教えてもらうようになっていきます。
話は変わりますが、驚いたのは、著者が古い船を買って6年間も海上生活をしたこと! それも船の補修から操舵まで、自分でやろうとしていたことでした。結局、いろいろな船の操縦から船体の手入れまでを住み込みで手伝う船乗りと知り合い、彼を雇うわけですが。
イタリア人と言うと、明るい、楽天的、社交的、などというステレオタイプな見方をついしてしまうのですが、この本を読むと、地方によってはまったくそうではないことがわかります。
この本、文章も好きなんですけど、紙質(薄いクリーム色)や活字のフォント ↓が好きなタイプなんですねぇ。本って、こういう全体的な表情も大事ですよねぇ。
主人に訊いたら「教科書体に近いフォント」と教えてくれました。「?」。
おまけ: 先日、市川で見かけた「ススキ」です。なんかもう秋の気配?