映画を見たブロ友さんがそれについて記事を書いていらっしゃいましたが、この本を読んで、「映画化、難しかったんじゃ」と思いました。
なぜって、主人公は理想のピアノの音色を求めて、悩み、もがくんですから。その音色を映像で表すんでしょう?
主人公の外村は、高二の二学期、偶然ピアノの調律を初めて見ることになります。
その時、調律師が叩くピアノの音から、外村は森の匂い、木々の揺れる匂いを感じます。
その調律師、板鳥宗一郎のもとを訪ねた外村は「弟子にしていただけませんか」と頼むんですね。
板鳥から調律師を養成する学校を教えられた外村は、高校を卒業して北海道を離れ本州にあるその学校に2年間通うことになります。
卒業後、板鳥の勤める楽器店に就職したものの、どうやったらピアノの音色を出せるのかわからない。音程だけは合わせられるものの、その先に進めないんですね。
同僚の調律師の調律に同行したり、店にある6台のピアノを一晩に1台ずつ調律する、そしてコツコツピアノ曲集を聴き続ける毎日。
まだ調律師として一人前でないある日、頼まれた調律で失敗してしまいます。
店に戻ると憧れの先輩、板鳥がいました。
外村は「板鳥さんはどんな音を目指していますか」とたずねます。
すると板鳥は、原民喜が言っている文章を外村に聞かせるんですね。自分の理想とする音をそのまま表してくれていると感じている、とも。
それは
「明るく静かに澄んで懐かしい文体、少しは甘えているようでありながら、きびしく深いものを湛えている文体、夢のように美しいが現実のようにたしかな文体」
この物語の終わりごろに出てくるやりとりが興味深いです。
ちょっと皮肉屋の先輩調律師の秋野が
「もしかすると」「外村くんみたいな人が、たどり着くのかもしれないなぁ」と言います。
楽器店の社長も
「たしかにな」「どうして外村くんみたいな人が調律師になったのか、不思議に思っていたよ。どうして板鳥くんがあんなに推したのか」
あら、楽器店に採用されたのは先着順と聞いていたのに?
外村は
「あの、僕みたいな人ってどういう人ですか」
その返事が
「うん、なんというか、まっとうに育ってきた素直な人」
タイトルの「羊」はピアノの弦を叩く「フェルト」のこと。「鋼」はフェルトによって叩かれる弦のこと。
つまり「羊と鋼の森」とは、ピアノの内部のことだったんですねぇ。それも深い深い森。
映画も面白そうですねぇ(^^)。
岡山の義姉からお野菜が届きました ↓。重くて宅配の人も大変だったようです(^^;)。
入っていたのは、ジャガイモ(キタアカリ、メイクイン)、きゅうり、ミョウガなど。
同封の手紙によると、「東方面なら送れる」と言われたので送ったそうです。つまり義姉の所より西にはまだ宅配便は送れない、ということですねぇ。いつすべてが復旧するのでしょう?