皆さんは将棋、できますか? 私はできません。
だからこの本を読んでも、将棋の指し手の部分は理解していません(^^;)。幸いにもそういう文章は少なかったので私には合っている本でした。
著者は藤井聡太七段の師匠である杉本昌隆七段です。
藤井聡太くんと言えば、14歳2ヶ月で史上最年少棋士になったことで世の中を驚かせたことで有名になりました。
その後も数々の記録を打ち立てています。
ところで、この本が出版されたのは今年の2月で、杉本さんが「おわりに」を書かれたのは1月、その時点では藤井くんは四段でした。
その後、2月に五段、六段昇段、5月には師匠である杉本さんと同じ七段になる! この昇段のスピードでも世間をアッと言わせました。
将棋に興味のない人でもそういう二人がどんな関係なのかは気になりますね。
まず、杉本さんが藤井くんの師匠になったいきさつです。
日本将棋連盟のプロ養成機関「新進棋士奨励会」を受験するには原則としてプロ棋士の師匠が必要になります。そのとき藤井くんは小学四年生。
その奨励会に入っても、プロになれるのはわずか二割程度だそうです。だからそれを考えると安易に勧めることはできない。
ただ藤井くんは杉本さんにとって「プロの道を自分から勧めても良い」と思った唯一のケースだったそうです。
結果、藤井くんの母親から師匠をお願いしたいという申し出があって、そこから二人の師弟関係が始まりました。
そして、杉本さんはどういう指導をしたか...。
藤井くんとは意識的に指す機会を少なくしたそうです。
その理由ですが
まず、技術的に教える必要がまったくなかった
二つ目は、もともと杉本さんは弟子に「将棋を教える」という考え方をしない
三つ目は、藤井くんに将棋に関するご自身のスタイルや考え方を押しつけたくなかった
ということだったようです。
また、プロになるために必要な要素として杉本さんは
負けず嫌いであること
負けを引きずらないこと
孤独に強いこと
を挙げています。
第三章ではご自身の棋士になるまでの道が書かれていて、その中で師匠であった板谷進九段の夢についても触れています。
それは名古屋に「東海将棋会館」を建てることでした。将棋会館があれば、公式戦も指せるんですね。板谷九段が亡くなられてこの夢はまだかなえられていません。
杉本さんの藤井くん評はこの文章 ↓でわかる気がしました。
藤井は熱心な研究者でありながらも、勝負師の一面も持っています。さらに詰将棋創作に要する独創性に富む芸術家の顔も持っています。
藤井フィーバーで将棋を始めるお子さんが増えているそうですね。私もやってみたい気はちょっとあります(^^)。