ブロ友の海さんが貸してくれた本の中の1冊です。イ・ウンジュン著 「国家の私生活」 という本。
最初から暴力団の話しで 「すぐに他の話しになるんだろう」 と思っていたら甘かった (^^;)。
時は2016年、南北朝鮮が統一国家になって5年の月日が流れています。
統一がうまく行ったか? 失敗でした~。
統一後も南の人は北の人を差別しているし、突然解散となった人民軍はどうしていいのかわからず、暴力団や馬賊などに身を落とします。
統一政府は多量の武器の管理にも失敗。 それが暴力団に流れて行くのは当然のこと。
それから北から来た人たちの住民登録もうまく行きません。
そういう状況の中、主人公の 「リ・カン」 が自分の所属する暴力団の中での死亡事故に疑問を抱き調べ始めるわけです。
この人、殺人も犯す人間なのですが、読んで行く途中でなぜだか彼に肩入れしてしまう自分に気づいて不思議な気持ちになりました。
大勢の女性と関係を持ったであろう彼が、1人の女性を愛するようになりますが、彼女は彼の命を守るために犠牲になって死んでしまうのです。 彼が自分の気持ちを彼女に伝える前に。
統一後のソウルが舞台、という想像の世界なのに、読んでいると今の韓国の話しかな、と思ってしまう部分もありました。
私は北朝鮮に興味があって、何冊か本も読みました。 実際に北朝鮮に住んでいて脱北した人の話しも真実味があって良いのですが、この本や前に読んだ 「天国の少年」 のように、小説の中に北朝鮮に関する描写があるとそれも情報源にしています。
ところで私は韓国語の小説を読む時、いつも最初のへんでつまづきがちなことに気がつきました。 どういう小説なのか、面白いのかそうじゃないのか、そういうことがわからないし、辞書もうんと引くので 「?」 となってしまうんですね。
でも読んでいるうちに引き込まれて、主人公たちの顔も行動も映像のように流れて行くようになればもう一安心 (^^;)。
出て来る単語もその作家によってわりと決まっているので、中ごろからは引く回数も減ってきます。 やっぱり最初ですね、苦労するのは。
今は次の魔法使いの出て来る小説を読んでいます。 とんでもないファンタジーの世界で面白いです(^^)。