友人が教えてくれたので借りてみようと思い図書館で検索したら、うちの区で80人待ち、お隣りの区で100人待ちでした。
半年くらい待つことになりそうだからあきらめていたら、彼女が送ってくれました。ありがとう(^^)。
本の帯にも書いてあるように、著者の鈴木るりかさんは現在14歳の中学生。
そして、話題になったのが小学館主催の『12歳の文学賞』の大賞を3年連続で受賞した、という点です!
小学校の4年、5年、6年の3年連続で受賞したのは史上初だそうですよ。
この小説、全部で5章からなっています。最後に「収録作品プロフィール」が載っていました。
いつかどこかで..........第10回「12歳の文学賞」大賞受賞作品(小学6年生時)を大幅に改稿
花も実もある..............書き下ろし
Dランドは遠い...........第8回「12歳の文学賞」大賞受賞作品(小学4年生時)を大幅に改稿
銀杏拾い.......................書き下ろし
さよなら、田中さん..書き下ろし
ということで、受賞作品ふたつに書き下ろしを加えて小説を完成させているわけですね。
「大幅に改稿」がどれほど大幅だったのかはわかりません。
でもこういう風な構成になっているのを知る前に読んだのですが、やっぱり「上手い!」と思いました。
登場人物の設定、言い回しの妙、全体の流れ、などなど、読むうちに引き込まれて行きます。
最後の章の「さよなら、田中さん」がこの本のタイトルになっています。私は「ああ、最後にお年寄りが亡くなるのかなぁ」なんて思っていましたがまったく違いました。一人称も、それまでの4つの章の主人公「田中花実」ではなくて彼女の同級生の「三上信也」ですし。
主人公の田中花実は小学校の6年生。周りには市立中学受験する裕福な友人たち。一方の花実は、友人たちとドリーミングランドに行くために自販機の釣り銭をあさる日々。
母親は身寄りが無く、建築現場ではためも気にせず働く毎日。母親の過去も「?」。花実の父親についても話してくれません。
これ続編がきっと生まれますね。田中花実とその母、三上信也たちが今後どうなって行くのか、気になりますから。
著者の鈴木るりかさんの好きな作家は「志賀直哉」「吉村昭」だそうです(^^)。文章の上手な作家たちですよねぇ。
中学生が読むことを考えてか、ルビが多かったです。「淋しい」「途中」なんかにもルビは振ってありますから!
こんなことを言ったら著者に失礼なんですけど、読む前はこれほど完成された小説だとは考えていませんでした。本当に「驚きの中学生」と言えると思います!