冒頭のシーンは、1912年のスコットの南極での話。南極点に到達するのがアムンセンより遅れ、探検隊の士気は落ちていました。
スコットは氷の割れ目に落ちてしまい、隊員の下ろしてくれたロープにつかまりながら地上に登ろうとします。そのスコットの目に不思議な物体が飛び込んできます。
大きな金属製の物体。羽のようなものもついており操縦席と思われるところにはあきらかに人が死んでおり...。
そこから現代のニューヨークに話は飛びます。ここからは探偵のハワード・レイクが主人公になってストーリーは進みます。
「サミュエル・ベケットという男を探し出してほしい」 という女性の依頼人。ここからナゾに次ぐナゾの連続。
なぜなら、そのサミュエル・ベケットは時空を超えていろいろな時代、いろいろな偉人たちとかかわりを持つのですから!
アインシュタイン、ニュートン、コロンブス...。それぞれの人物が歴史的になしとげた偉業にサミュエル・ベケットの手助けがあった、というわけなんです。
1巻の終わり近くの章では、アウシュビッツに送られる列車の中でのサミュエルの不思議な予言がユダヤ人の小人症のヘルガを驚かせます。
ノドの乾きに苦しんでいたユダヤ人たちにサミュエルはこう言います。「ちょっとガマンして。すぐに雨が降るから」
誰もそんなこと信じません。空は明るく晴れているのですから。
ところがまもなく雨雲がたれ込めて、夕立が皆のノドを乾きを鎮めたのです!
そしてサミュエルはヘルガに、「君が持っている楽器を大事にね。ここにいる中で君だけが生き残るよ」 と。
アウシュビッツでのヘルガとサミュエルの酷い毎日の生活が語られます。サミュエルはついにガス室に送られ...。
主人公のハワードは、7年前のあるできごとで神を信じなくなった男。そこに途中から行動をともにすることになるのが、なんと修道女であるリンジー。
宗教をめぐっての二人の言い争いもあり、無神論者であるハワードに今後なんらかの心の変化があるのかどうかも気になるところです。
歴史上の事実にフィクションを織り交ぜた面白さ。
だけどどこで表紙に書かれている 「TZOLKIN」 と結びつくのかわかりません。冒頭のシーンでスコットが見た、今まで見たこともない物体とも (^^;)。
これは 「ツォルキン」 と読み、「マヤ暦」 のことだそうです。
読むのがチョー遅いので、2巻読了がいつになることやら...(^^;)。がんばります!