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Channel: ハーちゃんの「ゆらゆら日記」
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通崎睦美著 「天使突抜一丁目」

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この本は、だいぶ前に一度借りて読んだ本です。先日借りた 「京都の路地」 に 「天使突抜」 の地名があってなつかしくなりまた借りました。

著者の通崎さんの肩書きはマリンバ奏者なのですが、400着も所蔵しているアンティーク着物に関する著書でも有名であり、ゆかたブランド 「メテユンデ」 のプロデュースもしていらっしゃいます。

この本には、通崎さんのアンティーク着物姿の写真 もたくさん載っていて、そちら方面に興味のあるかたは必見です。私も最初この本を検索したのはたぶん、「アンティーク着物」 でだったと思います。




さて、タイトルの 「天使突抜一丁目」 は、彼女のおうちのある住所なのですが、なんともステキな町名! 読み方は 「てんしつきぬけ」 です。

この 「天使突抜通」 は、京都市下京区、堀川五条ちかくにある通りです。西洞院通と油小路通のあいだの南北の通り。五条通をはさんで、北は仏光寺通から、南は木津屋橋通まで走っています。現在は 「東中筋通」 と称されているようです。

さて、この 「天使」 とは、エンジェルのことではないそうです。

町名の由来は、近くにある神社 「五条天神宮」 にあり、「天神」 は 「てんしん」 と読むのだそう。

そして、菅原道真を祀っているのではなく、「天」 からの 「使」 として、「少彦名命(すくなひこなのみこと)」、「大己貴命(おおなむちのみこと)」、「天照大神(あまてらすおおみかみ)」 の三柱を祀っているそうです。それで当初は 「天使の宮」 と呼ばれていたんですね。

その広大な鎮守の森を突き抜けて道を通したのが豊臣秀吉。16世紀の後半の京都改造時でした。

それで 「天使突抜」 という町名ができた、というわけだったんですねぇ。

著者の高校時代、職員室に呼び出されて叱られたこともあるそうです。「冗談はいいかげんにして、本当の住所を書きなさい」 と (^^;)。

着物の話ですが、十三詣りの時にむりやり着物を着せられて髪は桃割れに結ってから着物嫌いになっていた著者。

そんな彼女がアンティーク着物に目覚めたのは、大正生まれの伯母さんの形見の着物と出会ったことがきっかけでした。

着付けも、まだ修行中の女性のところにお稽古に通い、なんとか一人で着られるようになったそうですが、「自分流の着付け」 を考え出すんですねぇ。

長襦袢の襟に芯を入れずに着る
体の凸凹を補正するためにまくタオルをやめる
衣紋は抜かない
「下前」 と 「上前」 を固定する 「こーりんベルト」 はしない

そして、表紙をご覧になるとおわかりのように、なんと着物で自転車に乗っている!

京都の町を移動するのは自転車のほうが便利だから、なんとか着物を着て自転車に乗れないものか、考えたそうです。

結果、ふつうに乗ればいいことがわかったそう。

ただし注意点は当然あります。

まず、お尻の縫い目がほころびやすいので、ぴたっと着付けすぎない。腰掛ける時は、お尻の縫い目に気をくばる

袖丈の長い着物の場合は、いさぎよく自転車はあきらめる。看板や止めてある自転車のハンドルに引っ掛かりそうで危険だから

履物に傷をつけないように注意して乗る


そのほかに、もちろんアンティーク着物の魅力について、古着屋さん、骨董市、京都のお菓子、いり番茶、真田紐などについて書かれていますが、文章がすっと頭に入って来るので読みやすいです。

娘がアンティーク着物に魅かれているようです。昔の着物は丈が短いので背の低い娘にはピッタリなんですけども、赤子がいるからもう着物を着るのはムリかな? おととし一緒に上洛した時は地味なレンタル着物でウロウロしていたのですが (^^)。


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