彼女と堺雅人さんが共演していた刑事ドラマ 「ジョーカー 許されざる捜査官」 の撮影中のこと。堺さんは待ち時間にはいつでも文庫本を読んでいたそうです。
杏さんも読書好き。そして二人は周りのスタッフから 「教授と助手みたいだねぇ」 と言われるほどおしゃべりする仲に。
「原稿の締め切りを破ったことがない」 と堺さんから聞いた杏さんは、早速この 「文・堺雅人」 を買いに走ったそうです。
私の紹介文よりも杏さんの読後感をご紹介したほうが良さそうです。見事にまとめられているので~(^^)。
五十回の連載がまとめられたその本には、サカイさんの柔らかく、かつ芯の通った温かいキャラクターがそのまま現れていた。多用されるひらがなが効果的に、全体のトーンをゆるゆるふんわりとまとめている...中略...四年間書き続けられたエッセイには、様々な役柄を演じていく上での考え方や独特の目線、人とのふれあい方.....、どこをどんなに小さく切り取ったとしてもそこには必ず 「サカイさん」 が出てくるような、ほろほろと甘いクッキーの詰まった缶のような、そんな本だった。
これはTVナビという雑誌に連載されたもので、最後に担当者と堺さんの対談が収録されていて、そこに堺さんの文体の秘密が書かれていて、「あ、そうか!」 と思いました。
杏さんも指摘しているように、「多用されるひらがな」 が、読み始めてすぐに少し違和感を感じたわけなんです。すぐに慣れてまったく気にならなくなりましたが。
それは、「和語はひらがなで、字音語は漢字で、バランスが悪ければその都度かんがえる」 という 「堺流」 で書かれている文体でだったんです。
たとえばこんな風 ↓。
僕の場合いろいろかんがえて結局まったくちがう人物だった、というときもおおい。
ふつうに書いたら、
僕の場合いろいろ考えて結局まったく違う人物だった、という時も多い、になりますよねぇ。
役づくり、ということに関して、台本をもらった時から演じている時も迷っていることが多い、というのは驚きました。役者さんにもよるのでしょうが。
大河ドラマ 「篤姫」 で、堺さんは第十三代 「徳川家定」 を演じました。それで 「品」 ということについて4回も連続して書いています。
監督さんから、「いきいきと、でも品はよく」 というオーダーをもらった堺さん。「品がよい」 とは一体どういうことなのか、すっかり途方にくれたりもしています (^^)。
この本、借りてすぐに読み、昨日この記事を書くために再度読んでみました。なんと、再度、のほうが面白いのに気づきました! おススメです (^^)。