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Channel: ハーちゃんの「ゆらゆら日記」
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アガサ・クリスティー著 「アガサ・クリスティー自伝(下)」

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この (下) の方は、幼いアガサの暮らしぶりの描写の多かった (上) と違って、アガサの身の上に起こった大きな変化が書かれており、読むスピードが速くなりました。

まず、最初の夫、アーチー・クリスティーとの世界一周旅行の話。これは、大英帝国博覧会使節としての立場で旅行したもので、訪問先ではVIPとしての待遇を受けるもの。

旅程は、南アフリカ→オーストラリア→ニュージーランド→ハワイ→カナダ→アメリカを廻っています。

そしてそして、私がとても知りたかった、最初の夫、アーチーとの離婚について。

それはアガサにとっては突然の宣告だったんですね。

「ぼくは彼女と愛し合う仲になってるんだから、手筈が整い次第、ぼくと離婚してもらいたい」

アガサの母親が亡くなり、アガサは後始末に追われ、離れて暮らしていた夫の事を考える余裕が無かった。その間に想像もできないことが夫の身に起こっていた、というわけ!

夫のアーチーは、病気とか死とか何かの面倒なことが大きらいな人物だったのは、アガサ自身もよく知っていたのです。でもこの時、彼女にそれを重大なことと考える余裕が無かった、それが離婚に発展した理由でした。

離婚の段取りも決められ、何もすることが無くなったアガサは、日光を求めて西インド諸島とジャマイカに行こうと思いつきます。

ところが、運命でしょうか、友人宅で偶然出会った若い夫婦にバグダッドの素晴らしさを知らされるわけです。そして、何よりもアガサが気に入ったのは、そこにはオリエント急行で行ける、という点でした。

そしてその旅行先で出会った、考古学者のマックス・マローワンと結婚することになるのですから、運命とは面白いものですね。マックスはアガサより14歳も歳下でした。

その後起こった第二次世界大戦中のイギリスのようす、暮し続ける場所もどんどん減って行きます。そんな中、アガサは病院の薬局で働き始めるわけです。

私がアガサの著書の中でベスト作品だと思っている 「春にして君を離れ」 について、アガサはこんな文章で説明を始めています。

「その後まもなく、私は自分で完全に満足のいく一つの小説を書いた」

この文章を読んで、私がこの作品が素晴らしいと思ったのは間違いではなかった、と思いました (^^)。著者自身がそう言っているのですから。

この作品を紹介しようと思いましたが、どう考えてもその紹介文の中に本当は書いてはいけない情報が入ってしまう可能性があるのに気づきました。最初に主人公が 「?」 となったのはこの部分、なんて書いただけで、これから読もうとしている人にとっては邪魔な情報なわけですからねぇ。

ですから、アガサの文章をちょっと借りるだけにしておきます。

「ある女が自分自身がどんな人間かについて完全なイメージを持っていて、だがそれは完全にまちがったイメージだった、という女の物語である」

そしてアガサはこの小説について4ページを割いて詳しく書いているのですが、なんとたったの3日で書き上げてしまったそうです! 病院にも欠勤届を出して!

なぜならその小説をそのままにしておけなかったから。完結まで書きつづけなければならなかったから。

このタイトルにも興味を覚えるのですが、なんとシェークスピアの十四行詩の冒頭の語---「われ、そなたと春に遠ざかる」 から取ったそうです。そうだったのか...。

前にも書きましたが、原題は 「Absent In The Spring」 です。

それにしてもアガサがこの本で何度も言及していること、それは、「スタイルズ荘の怪事件」 を1920年に出版してから、順調にミステリー作家としての道を歩んでいたアガサなのに、いつも 「自分はまだ一人前ではない」 と感じていたこと。

アガサがこの自伝を書いたのは、彼女が75歳の時でした。亡くなったのは85歳です。

なぜ75歳で自伝を書いたか。それは

「もう書くのにちょうどよいときだと思える。というのは、生涯に関するかぎりいうべきことはみなここにあるからである」

だそうです!


昨日退院した主人ですが、今日もリハビリを兼ねて買い物と図書館に行って来ました。娘も一緒に行きたいと言うので拾って行きました。赤子は戻っていなかったので。

やはり40日もの入院で体力が衰えて動作が緩慢になっていますねぇ。

散歩をするように、とリハビリ科で言われていますが、ただの散歩よりも買い物なんかのほうが気がまぎれるように思うんですね。とうぶん毎日、買い物や近所へのお出かけがリハビリですね (^^)。


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