チェ・ヒョッコン著 「B-cut」 という推理小説です。
1枚の写真に写っている4人の男性のうち、3人が殺されます。残りの1人を元刑事は探し、女の殺し屋は4人目を殺すために追跡する、という流れです。
元刑事は、別居中の妻から 「お金を送って」 と急かされている最中。どんな仕事でも引き受けないといけない懐具合。
仕事の内容もはっきりしないまま、引き受けてしまいます。
最後の1人は助かるのかなぁ、と思いながら読んで行ったのですが、結局女の殺し屋に殺されてしまいます。元刑事がちょっと気を抜いた瞬間に。
その後、女の殺し屋と元刑事の行き詰まる対決があったりします。
女の殺し屋は、お金を盗まれ行くところも無く途方に暮れていた時に、中国人のミョンという女に拾われ、彼女から殺し屋の修行を受けることになった女。
4人目の男性が殺されて、女の殺し屋はニューヨークに戻り、元刑事は韓国に。
女の殺し屋は、自分を殺し屋に仕立ててくれた中国人女性のミョンをこの世で1番愛していたのですが、最後はそのミョンに銃で撃たれて死ぬことに。
これには、なぜ写真の4人が殺されなければならないか、という事情がかかわっていました。
一方、元刑事は、インチョン空港に着くや、別居中の妻が交通事故で亡くなったという連絡を受けます。その妻は、ちかぢか別の昔から愛していた相手と再婚すると言っていたのです。
妻の保険金がたっぷり懐に入った元刑事は、ちゃちなアパートから環境の良いマンションへ引っ越し、娘のナミを引き取って一緒に暮らし始めるのですが...。
もう仕事もしなくて良い、これからは人生を楽しむだけに生きれば良い、と我が世の春を謳歌しようとしていたその時、娘から思いもかけないひと言が!
「パパがママを殺したこと、誰にも言わないからね」 って。
妻が事故に遭った時、元刑事は中国にいたから彼が殺したはずはありません。でも人に頼んで殺すことはできました。
最後のほうで、警察にいた時の元相棒に小切手を渡していたのはそういう事だったのか、と合点が行きました。
女の殺し屋と元刑事のそれぞれの過去と現在がうまく語られる、面白い小説でした。